2025.02.21
【EC物流の費用対策】物流コスト削減のためのノウハウを解説!
ECサイト(ネットショップ)は日常生活の中で利用しない人がいないほど一気に普及していき、誰もがその便利さを知って気軽に活用している時代です。
そしてEC事業者にとって、「EC物流」は絶対に見過ごせない重要課題であり、物流業界の人手不足をはじめとした社会問題も含めて早急な対応が期待されています。
またECサイトを成功に導くには、物流コストを可能な限り削減し、利益率を向上させなければなりません。そのためには、現在のコストが適切かを知り、コスト削減に尽力することが大切です。
本記事では、業務を効率化する方法や物流コストを削減するための費用対策について解説いたします。
EC物流の費用対策はなぜ必要?
EC事業が急拡大する中、物流のコスト対策をどうすべきかが重要課題の1つとして挙げられています。
まずはEC物流の費用対策の必要性について下記にまとめていきます。
顧客の要望に応えるのため
時代の流れとともにEC市場が急成長したため、より高品質で低価格なサービスが消費者から求められるようになりました。
配送面では顧客からの要望がますます高まり、丁寧かつスピーディーで、環境にも則した物流サービスの提供が必須と考えられています。
EC事業の利益拡大を目指すため
EC事業の利益拡大を推進していくためには、まず物流コストの削減を目標に掲げなくてはいけません。
システムや物流で効率化を図れば物流のコストが低減するので、利益率の増加を実現できます。
また削減したコストを元に商品開発や販促活動に力をいれることで、お客様からの満足度や信頼性が高まるので、ブランド価値が上がるだけでなく売上向上やリピーター獲得に結びつき、ビジネスを発展させるベースを確立できるでしょう。
物流コストとは?
ところで物流コストには、具体的にどのような費用が含まれるのでしょうか。
物流コストの種類とコスト削減の必要性について、下記にまとめます。
物流コストの種類
物流に関わるコストには、
- 保管費
- 荷役費
- 資材費
- 輸送費
- 物流管理費
- その他(マテハンなど)
などが主に挙げられます。
各費用別に、次のとおり具体的にご説明していきます。
【保管費】
商品の在庫を保管する際にかかる費用で、自社倉庫を使用する場合には「倉庫賃借料」が必要です。なお、EC物流代行業者を利用する場合には、商品を保管する費用も発生します。
【荷役費】
倉庫のスタッフが行う作業そのものを荷役(にやく)と呼びます。入荷作業・梱包作業などがこの費用にあたります。
- 入荷した荷物の積み下ろし費
- 商品の棚入れ
- 仕分け費
- ピッキング費
- 梱包/包装作業費
- 流通加工費(タグ貼付けなど)
- 棚卸費
【資材費】
忘れていけないのが商品を発送する際に使用する段ボール等の資材です。プチプチなどの緩衝材も資材となります。
【輸送費】
商品が自社または倉庫に入るまでのコストと、商品を顧客に発送する際のコストになります。自社でトラック等の車両を保有する場合は、ガソリン代や購入/リース費用やメンテナンス費なども輸送費に含まれます。
- 商品を仕入れ時の送料
- 商品を配送時の送料
【物流管理費】
社員・スタッフの人件費にあたります。この中には事務スタッフも含まれます。また、システムの利用料・保守費も管理費に含まれます。
- 物流人件費(ドライバー、倉庫関連作業員など)
- 在庫管理システム費
【その他】
それ以外にも棚であったり、ネステナーやフォークリフト、梱包機などの機器を導入している場合の費用も算出しましょう。
- マテハン等の什器備品
- 在庫管理システム費
- 輸出入時に支払う関税
物流コスト削減の必要性
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会によると、2024年度調査では物流コスト比率(物流コストを売上高で除した比率)が全業種平均5.45%という結果でした。
ここ20年で物流コストは長期的に上昇傾向が続いていて、2021年度調査時の5.7%に次いで2番目に高い数値を記録しています。
EC事業者にとって、単に売上げ増や利益率アップを目標にするだけでなく、今後も継続して物流コスト削減を目指していく必要があるでしょう。
▶︎参考
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(2024年度調査)
< 2024年度物流コスト調査結果(速報値)の公表はこちら >
物流コストが増える原因
なぜ物流コストは増加してしまうのか、その原因を次の4つに絞ってわかりやすく解説いたします。
1.人件費の高騰
物流業界の2024年問題により、トラックドライバーの労働時間が規制され、ドライバー不足が問題視されました。
従来の物流ニーズに対処するにはドライバー増員が必要となりますが、人材確保することは困難なのが現状です。
さらに物価高騰の煽りを受けて最低賃金を大幅引き上げする動向もあるため、今後も人件費の高騰は避けられない状態です。
2.燃料費の高騰
ロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢の変化で、ガソリン価格が急速に上がり、およそ3割増しと報じられました。
大型トラック1台に換算すると、1カ月のガソリン代が30万〜40万円も値上がりしたことになります。
また2025年1月中旬に政府からの補助金が縮小されたため、一層ガソリン価格が高騰しています。残念ながら当面燃料費の値下げは見込めないと考えられます。
3.物流現場の3M(ムダ/ムリ/ムラ)
物流の現場における「3つのM(ムダ/ムリ/ムラ)」も物流コストアップの原因です。
業務量と比べて空間や人が多過ぎるとムダなコストを使っていることになります。逆に人手不足だったりスペース不足だったりすると、無理が生じて人件費や保管料などがかさんでしまいます。
ムダとムリが生じる物流現場にはムラができるため、余剰人員がいたり離職する人が増える可能性も生じ、物流コスト増加の原因となるでしょう。
4.ヒューマンエラー
物流業務の中でヒューマンエラー(人為的なミス)は付き物と言えます。
商品のピッキングや配送のミスをはじめ、付随するクレーム処理業務など、時間とコストのムダを発生させてしまう可能性は大いにあります。
複数チェック体制化、ITシステム化の推進などでミスを減らす対策を取る必要があります。
物流コストを削減する対策とは?
増加傾向の物流コストを少しでも削減するには、下記の5つの対策が考えられます。自社の事情にあった内容を実施すると非常に効果的です。
1. 在庫管理を最適化する
商品の在庫が多過ぎても少な過ぎても、EC事業者には不利な条件となります。
オーバーストック(在庫過多)は保管スペースのムダになりますし、最悪の場合は廃棄処分の恐れがあります。アウトオブストック(在庫不足)だとお客様に迷惑をかけたり、機会損失によりビジネスチャンスを失ったりする可能性が高まるでしょう。
いずれも物流コスト増の原因になるため、まずは在庫の適正管理が必須です。
バーコード/RFIDタグなどを利用したツールを用いると在庫管理の効率化に役立ちます。また、最新のITシステムを採用し導入すれば、複雑な在庫管理も一元化でき、在庫量を最適に保てるでしょう。
2. 仕分けや梱包を改善する
仕分けや梱包プロセスを改善すれば、物流費のコストカットが可能です。
例えば、梱包について材料を軽量化やリサイクル資材を使用する等の資材の見直しを図りましょう。梱包自体の簡素化を図れば、余分な費用を節約できるはずです。
また、定期的に作業員の研修トレーニングを実施して、業務レベルの質を高めるとヒューマンエラーやムダな手間が省けて作業効率が向上します。
3. 発送効率をアップする
配送の質が高くなれば、お客様の満足度もアップします。
商品の出荷までに正確さとスピードが求められます。これらを実現するには、効果的な倉庫管理システムを利用するのがポイントです。また、自動梱包機などの機器を導入している倉庫は早いだけでなく、1日の出荷数制限などもない場合がありオススメです。
拠点ごとの在庫管理の難易度はあがりますが、ECでは全国からの注文に応じたり、急な配送に対応する必要があるため、ある程度の規模感の事業者は分散配送がベターです。最寄りの配送センターがあれば、配送時間が短縮できるだけでなく、天候条件などに左右されず発送効率をアップさせられます。
また自然災害などのリスクを考慮するなら、物流拠点を分散させると安心でしょう。
4. 返品率を下げる
EC事業者にとって返品率を少しでも下げることが、物流コスト削減につながるのは確実です。返品率ダウンと返品プロセスの簡略化に努めましょう。
返品対策としては、事前の商品説明を正確かつ詳しく表記する、FAQやレビュー欄を充実させるといった工夫が必要です。
もし返品となった場合は、申請から再配送/払戻などを最短で行えるような体制やシステム構築をしてコスト削減を目指しましょう。
5.EC物流代行業者を利用する
EC物流代行業者は、3PL(Third-Party Logistics)と呼ばれる「第三物流」のことです。
商品の保管管理、荷役、梱包、輸送まで一括請負する便利なサービスです。
しかし一口にEC物流代行業者と言っても千差万別で、できる限り以下の要件を満たす代行業者を探すのがオススメです。
- システム化・IT化している
- 都心から離れた郊外に倉庫がある(利用料を安く抑えられる)
- フレキシブルな対応ができる(規格外サイズ、小ロットなどに対応可)
- コスパがよく自社のニーズに適している
物流代行業者によっては、見積もりがよかったとしてもサポートがほぼ受けられない、倉庫内の環境が想像と違っている、事業拡大の際に想定しているスペースが不足しているなど、さまざまなデメリットが見つかることもあります。
見積もりを取得するだけで安心するのではなく、実際に倉庫の見学をさせてもらうことも重要でしょう。また、EC事業者のニーズに合わせて柔軟な対応が可能かどうかも事前確認をするべきです。
まとめ
物流コストとは保管費・荷役費・資材費・輸送費・物流管理費などを指しますが、コストが増加するのは人件費や燃料費の高騰、現場のムダ・ムリ・ムラやヒューマンエラーに起因しています。
EC事業者が利益拡大を目指すには、物流コスト削減が最重要です。
在庫管理の最適化、仕分けや梱包の改善、発送効率のアップ、返品対策、EC物流代行業者の活用が物流コストダウンの対策として効果的でしょう。
はぴロジの 「logiec(ロジーク)」を活用すると、ECシステムとWMS(倉庫管理システム)を連携させて受注処理や在庫管理をリアルタイムで最適化します。
また、物流業務をトータルで請け負っており、全国の提携する倉庫から最適な倉庫を提案することも可能ですので、物流コストの見直しや削減を検討している方は、お気軽にご相談ください。