製造業においてリードタイムは重要な要素のひとつです。
リードタイムを短縮してユーザーへ商品をいち早く届けることで、顧客満足度が上がったり販売機会の損失を防げたりして、売り上げアップが期待できるからです。
実はこのリードタイムは大きく4つに分類され、それぞれによって短縮方法は異なります。
本記事では、まずはこの4つのリードタイムの概要を説明した後に、リードタイム短縮の重要性や具体的な方法を解説します。
物流における「リードタイム」を理解しよう
リードタイムとは、商品やサービスを発注して納品されるまでにかかった時間や日数のことを指します。
作業工程ごとの所要時間を指す場合もあるため、物流におけるリードタイムにはさまざまな種類があります。
リードタイムが短縮できれば、コスト削減により売り上げがアップしたり、顧客満足度の上昇につながったりします。
物流のリードタイムは4つに分けられる
物流のリードタイムは「開発リードタイム」「調達リードタイム」「生産リードタイム」「配送リードタイム」の4つに分けられます。
以下、それぞれ詳しく解説します。
開発リードタイム
開発リードタイムとは製品の企画をもとに、製品の製造から出荷までの計画・立案を行う期間のことを指します。
開発リードタイムを短縮できれば、市場や顧客ニーズの変化にいち早く対応し、競合他社よりも優位に立つことができるでしょう。
調達リードタイム
調達リードタイムとは製品の生産に必要な原料や部品を注文してから、受領するまでの期間のことを指します。
原材料を自社で用意している場合は原材料の準備期間から、外部から購入している場合は発注時点から納品までの期間が、調達リードタイムにあたります。
調達リードタイムは受領に関する時間も含まれるため、原材料の数量によってリードタイムが伸びる可能性があります。
生産リードタイム
生産リードタイムとは原材料から製造工程を経て、商品として出荷されるまでの期間のことを指します。
生産リードタイムは、各工程の開始から完了までにかかる「工程リードタイム」と、各工程における作業の開始から完了までの「作業リードタイム」に分けられることが一般的です。
生産リードタイムには出荷までにかかる作業時間だけでなく、工程間の待機時間も含まれます。そのため、商品の待機時間が増えれば増えるほど、そのぶん生産リードタイムは伸びてしまいます。
配送リードタイム
配送リードタイムとは、生産した製品を納品するまでにかかる期間のことを指します。出荷リードタイムや物流リードタイムと呼ばれることもあります。
配送リードタイムには製品の梱包や発送の時間も含まれます。
物流のリードタイム短縮は重要性が高まっている
物流におけるリードタイム短縮の重要性は、年々高まっています。
昨今はネットショッピングが普及し、 当日配送のサービスも増えています。「早く手元に商品が欲しい」という消費者ニーズに応えるためには、各企業はリードタイムの短縮を意識せざるを得ません。
また、生鮮食品を取り扱うネットショップが増えたことも、リードタイムの重要性が強くなっている理由のひとつとして考えられます。
リードタイムの短縮化でEC事業が成長する理由
リードタイムを短縮することは、EC事業の売り上げを伸ばすためにも非常に重要です。本章ではリードタイムの短縮が事業発展につながる理由をふたつ紹介します。
無駄の削減により売り上げアップにつながるから
リードタイムの短縮とはつまり、在庫の補充頻度が高くなるということです。リードタイムを短縮できれば、過剰在庫を抱えることがなく、無駄な在庫管理コストの削減につながります。
無駄なコストが削減できれば、結果的に利益率もアップします。
また、商品の販売サイクルを短縮することは、今までよりも多くの商品を供給できるということです。需要が供給を上回っている場合であれば、リードタイム短縮によって売り上げアップが期待できます。
顧客満足度の向上につながるから
リードタイムを短縮できれば、より早くお客様の手元に商品を届けられるようになるため、顧客満足度が向上するでしょう。
高品質のサービスを届けることで、ユーザーがリピーターになってくれれば、売り上げアップも期待できます。
リードタイムを短縮する4つの方法
リードタイムを短縮するために、企業はどのようなことに取り組むべきなのでしょうか。
本章ではリードタイムを短縮するための方法を、リードタイムの種類ごとに紹介します。
開発リードタイム:材料の統一化
開発リードタイムを短縮するためには「材料の統一化」が有効です。
材料や部品の種類が多く複雑になると、生産時に部品を切り替えたり、在庫管理をしたりする業務に時間がかかってしまいます。そこで、ほかの製品と共通で使える部品や材料を選ぶことで、生産過程がスムーズに進行できます。
材料が統一されていれば、今後新商品や新サービスを制作する際もスピーディーに対応できるでしょう。
調達リードタイム:サプライヤーとの連携を強化する
調達リードタイムを短縮するためには、サプライヤーとの連携を強化する必要があります。
納期ずれは調達リードタイムを伸ばしてしまう大きな原因です。サプライヤーに発注計画を開示することは、納期ずれを防ぐことにつながります。
自社で部品を調達している場合は、社内で調達計画の見直しを行うことで、調達リードタイムを短縮できるでしょう。
生産リードタイム:不良品発生のリスクを抑える
生産時間を大きく伸ばしてしまう原因が、不良品の発生です。不良品が発生した場合は生産ラインを止めて原因を追及する必要があるため、製造業務が滞ってしまいます。
そのため、生産リードタイムを短縮させるには、不良品発生のリスクを抑えることが有効です。不良品の発生を抑えるためには、検査工程の追加をするケースが多いです。
検査を工程の最後だけでなく、途中の工程でも行うことで、二重チェックが可能となり不良品の早期発見につながり、不良品に関する事故などを事前に防ぐことができます。
検査工程を追加すること以外にも、生産リードタイムを短縮する対策として次の3つも有効です。
・人員の整理、再配置(作業の効率化)
・生産計画の見直し
・機械の更新(自社にマッチしたシステムの購入)
配送リードタイム:物流を管理するハブシステムの導入
配送リードタイムの短縮には、物流を総合的に管理できるシステムの導入が有効です。
流通統合制御システムでは、あらゆるECカート・モールと、物流システム(WMS、OMS、TMSなど)、そしてAIやドローンを繋いでくれるため、クイックコマースの実現も可能です。在庫管理や出荷管理をデータベース化・自動化でき、リードタイムの短縮も期待できます。
また、在庫管理業務を簡単な設定により自動化して、適切な倉庫から出荷することも可能です。
スピード配送に特化したクラウド型流通統合制御システムが「logiec」です。安定したオペレーションによって、急なトラブルやピークにもスムーズに対応できます。システム投資を抑えながら、物流コストの圧迫を防ぐことができます。
まとめ
物流リードタイムには、開発リードタイム、調達リードタイム、生産リードタイム、配送リードタイムの4つがあります。
コスト削減や顧客満足度向上のためにも、今回の記事で紹介した手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、リードタイムの短縮は、業務効率化を意識しすぎて作業ミスにつながるケースがあります。急な在庫減少やノルマの変更はトラブルが発生するおそれもあるため、注意が必要です。
リードタイムの短縮を目指すのであれば、まずは自社の作業過程や在庫数の見直しから始めることをおすすめします。
適正在庫の算出方法については以下の記事をご覧ください。