さまざまな需要に応え、EC事業が急激に伸びているという企業は少なくないでしょう。一方で、注文数に対して発送が間に合っていなかったり、在庫管理のトラブルが増加したりと需要の急増に対処しきれていない部分も多いのではないでしょうか。
今後もEC事業を順調に伸ばしていくためには、業務内容やシステムの抜本的な改革が必要です。本記事では、EC事業の根幹を支える在庫管理の課題について、業務効率化のポイントとともに解説します。
EC事業の在庫管理がうまくいかない理由
在庫管理がうまくいかないと、企業のキャッシュフローに影響が出たり、顧客満足度の低下につながったりするおそれがあります。原因を分析して対処する方法を早めに模索しましょう。
ここでは、業種問わず多くの企業が抱えやすい、在庫管理がうまくいかないときの原因を5つ紹介します。
マンパワーに頼っている
事業拡大による入出荷量の増加にともない、人員補充を行う企業は少なくないでしょう。しかし、必ずしも人員補充で業務効率が向上するとは限りません。
たとえば、以下のようにマンパワーに頼り切っていないでしょうか。
・受発注を電話やメール、FAXのみでおこなっている
・在庫数の管理を紙伝票やExcelでおこなっている
・検品を目視で行っている
・ダブルチェックで問題が解決できると判断している
人員の補充には、導入できる設備や機器の数などである程度の限界があります。さらに、取り組む人員が増えればそのぶん確認作業が増えたり、必要な情報をすぐに引き出せなかったりと、作業遅延やヒューマンエラーのリスクが高くなってしまうのです。
また、目視による検品では見落とす可能性が十分にあるでしょう。ダブルチェック体制を敷いていても「前の人がOKなら、問題ないだろう」とチェック体制が甘くなることも考えられます。
作業手順を改善していない
在庫管理にかかる工数の増加やミスの発生は、作業手順に原因がある場合もあります。明確な作業手順を提示していない場合は、従業員がそれぞれ独自の手順で作業を進めるため、お互いにスムーズな連携が取れません。従業員本人にとっては慣れ親しんだ手順や方法であっても、実際は非効率的なケースも多く、業務効率の向上を妨げてしまいます。
また、作業手順が明確化している現場でも、見直しを行わず同一の手順を継続していると、それ以上の業務効率化は期待できないでしょう。作業手順の改善が必要と分かっている一方で、大幅な手順の変更や社員教育にかかる負担を懸念するあまり、なかなか着手できていないという企業も少なくありません。
適正在庫を計算していない
在庫管理の基本は適正在庫の維持であり、「仕入れ過ぎないこと」と「欠品させないこと」、このふたつが重要です。適正在庫を維持することは、無駄な保管スペースにかかるコストの削減にもつながります。
また、仕入れた在庫がスムーズに捌くことができれば、不良在庫の発生を防ぎ、商品の品質維持が可能です。
しかし、適正な在庫数が曖昧で管理を勘に頼っていると、不良在庫が増加したり欠品による売り逃しが発生したりと、業績悪化を招くこととなります。
複数拠点で倉庫を利用している
近年は在庫量の適正化などの目的から、複数拠点で倉庫を利用しているケースもあります。一見すると効率化につながっているように思えますが、倉庫ごと・拠点ごとに別々のシステムやサーバーを利用している場合は、全体の状況を把握することが困難です。
自社に合ったシステムを導入できていない
業務効率化のためにデジタルツールを導入した企業においても、自社に合ったシステムを導入できておらず、以下のような問題を抱えていることがあります。
・自社と倉庫で在庫管理の方法が異なる
・自社と倉庫のシステムが連動できていない
・UIが自社の業務フローと合わず、操作しづらい
・利用したい機能や改善策は別途費用が生じる
一部のシステムや方法が連携できていないと、アナログな方法を挟む必要があり、業務効率化につながりにくくなります。システムによっては機能の改善や追加で問題を解決できる場合がありますが、オプションでの拡張となれば、相応のコストが必要です。
EC事業の在庫管理を最適化するポイント
上記のような、EC事業が抱えている問題点を踏まえたうえで、在庫管理を最適化するには単純な人員の補充だけではなく、効果的な手法を取り入れることが重要です。
EC事業の在庫管理を最適化するポイントとして、次の2つが挙げられます。
作業の最適化を考える
まずは、入出庫にかかる作業そのものを最適化できないか見直してみましょう。
・商品の荷捌きスペースは最適か
・仮置きスペースは確保できているか
・作業マニュアルは作成しているか
・ピッキング手法は最適か
・スタッフ数は足りているか
上記のとおり、チェックポイントは複数あります。作業スペースなど環境の見直しはもちろん、作業マニュアルの有無も重視すべき点です。スタッフに効率良く動いてもらうだけではなく、新しく入社したスタッフの教育を効率化するためにも、作業マニュアルは作成しておきましょう。
また、オーダーピッキングとトータルピッキングどちらのピッキング手法が最適なのかも見直しておきたいところです。
デジタル技術の活用
在庫管理に限らず、さまざまな業務の効率化にデジタル技術は欠かせません。たとえばバーコードや二次元コードの導入によりスムーズな入出庫を可能としたり、在庫管理システムの導入で不良在庫や売り逃しのリスクを軽減できたりします。
ただし、安易にデジタル技術を導入すれば良いというものではなく、自社の業務フローや既存システムに合ったものを選ぶことが重要です。どんなデジタル技術でも導入すればうまくいくとは考えず、実際に導入するにはいくつかの課題があることに向き合う必要があります。
在庫管理システム導入における注意点
在庫管理システムを導入するときは、コストのみを重視しないことがポイントです。コストを優先するとかえって自社のやり方と合わなかったり、現場に馴染まず活用されなかったりする可能性があります。
問題なく在庫管理システムを導入するためには、以下の3つの注意点を意識しましょう。
在庫管理システムを浸透させるための準備が必要
導入した在庫管理システムを社内で使いこなすことができず、無駄な作業を増やしてしまうケースは珍しくありません。在庫管理システムと一口に言ってもUIや搭載されている機能はそれぞれ異なり、導入当初は機能や操作が難しいと感じるものです。
まずは在庫管理システムを現場で浸透させるために、実際に扱うこととなるスタッフがどのような課題を抱えているのか、どのような機能を求めているのかを把握しましょう。
在庫管理システム導入におけるトラブル対策が必要
導入時は機能や料金に関するトラブルが生じやすいため、ある程度想定したうえで、あらかじめ対策込みの導入計画を立てておくことが重要です。
料金面のトラブルでは、導入時に欲しい機能がなく、追加するには別途カスタマイズ料金が必要となるケースなどがあげられます。他にも既存システムから移行する段階で連携できなかったりミスが生じたりする可能性もあります。
導入する在庫管理システムを選ぶ段階の対策だけではなく、万が一導入後にトラブルが生じた場合の対策も用意しておきましょう。
「自社に合う」システムを選択することが最重要
すでになんらかのシステムを導入している場合は、既存システムとの連携の可否が重要です。在庫管理の方法自体も企業によって異なるため、自社の商材の特徴を熟知したうえで最適なシステムを選ぶ必要があります。商材の需要の変動や回転率、保管方法や販売方法などを考慮しておきましょう。
また、業務フローにおける課題や、現状すでに発生している無駄について把握し、事前に必要な機能やシステム導入の目的を明確にしておかなくてはなりません。
コストや使いやすさだけではなく、課題解決の観点からも自社に合う在庫管理システムを導入し、在庫管理の徹底に役立てましょう。
在庫管理システムと連携できる「はぴロジ ASIMS」もおすすめ
在庫管理システムの導入にあわせて、自動出荷管理システムも検討してはいかがでしょうか。
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倉庫から入出荷後の実績返却があるまで、ASIMS表示画面上の在庫と実在庫は異なりますが、決まった時間に自動で実績が反映されることで、定期的に在庫が確認できる仕組みです。
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システム導入時に課題となりやすい、データの変換も「はぴロジ ASIMS」なら自動で対応が可能です。
また、「はぴロジ」では商材やエリアに合った倉庫のご提案も可能です。これから事業拡大を検討している方や在庫管理の課題解決に取り組みたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
需要の急増にともない各業界でEC事業が拡大されつつあります。一方で現場や環境が追いついておらず、在庫管理の課題が浮き彫りになってきたと実感する方も多いのではないでしょうか。
マンパワーに頼り過ぎている場合は、まず在庫管理システムなどデジタル技術導入の検討がおすすめです。ただしすべてのシステムが自社に合うとは限らないため、現在抱えている課題に対応したデジタル技術を選ぶ必要があります。
在庫管理システムなどデジタル技術の導入でお困りの方は、ぜひ一度「はぴロジ」へご相談ください。商材やエリアに合った倉庫のご提案にも対応しているため、事業拡大を幅広くサポートいたします。
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