物流業務を自社で担っている場合も、倉庫事業者へ委託する場合でも、倉庫費用が必要です。売上が伸びても利益がなかなか伸びない場合には、物流倉庫費用を見直してみましょう。余分なコストが発生しているポイントが見つかれば、削減できるかもしれません。
ここでは、EC事業における物流倉庫の費用相場や、削減方法について、出荷件数1000件規模の場合を例として解説します。
物流倉庫の費用項目は2つに分かれる
物流倉庫の費用は、「固定費」と「変動費」に大別できます。
固定費というのは、毎月一定額かかる費用のことです。文字通り、金額が固定されていて、売れ行きや仕入れ状況によって金額が変わることはありません。
変動費というのは、利用状況によって変動する費用のことです。基本的に入庫や発送が多ければ多いほど、変動費も多く発生します。逆に売れ行きが悪く、入庫や発送が減ると、変動費も減るという具合です。
【固定費】物流倉庫の費用項目と相場
物流倉庫の固定費について、項目別に見ていきましょう。
倉庫保管料
倉庫保管料というのは、商品を保管するスペースを維持するのにかかる費用のことです。地価に影響されやすいため、倉庫の立地によって費用相場は大きく異なります。都市部に近い地域では、地価が高いため、倉庫保管料も高めです。
そのため、地方や都市部から少し離れた地域の物流倉庫を利用しているEC事業者様も少なくありません。地方だと同じ広さの物流倉庫でも、都市部の半分程度の倉庫保管料で済むこともあります。
システム利用料
システム利用料というのは、倉庫システムを利用する際に発生する費用のことです。倉庫システムを利用することで、在庫管理を効率良く行えます。比較的規模の大きなECサイトや複数のECサイトを運営している事業者様にとっては、必須といえるでしょう。
倉庫システムは、毎月一定額の月額料金を支払って利用するのが一般的で、その相場は2~5万円程度です。 クラウドパッケージ型などの倉庫管理システムを利用している場合、費用を抑えやすいことも特徴の一つです。しかし、倉庫内でロボット機器との連携・管理等を行う場合は、機能の充実に伴って業務管理料も増加します。 倉庫管理システムを導入するメリットや選び方、導入するときの注意点については下記の記事で詳しく説明しております。
業務管理料
業務管理料というのは、商品を管理するためにかかる費用のことです。倉庫保管料やシステム利用料とは別に発生する手数料のようなものだと捉えておくと良いでしょう。
金額の相場は月額1~5万円程度です。基本的に出荷数が多いほど高めに設定されます。 出荷件数が多く、業務管理費をパーセンテージでお見積りをしている場合は、上記の相場には当てはまらず月額数10万~100万円程度の費用が掛かることを念頭に置いておきましょう。
【変動費】物流倉庫の費用項目と相場
物流倉庫の変動費について、項目別に見ていきましょう。
デバンニング料
デバンニング料とは「輸入貨物をコンテナから取り出す作業」全般のことを指します。デバンニングは、複数の人員で作業を行うのが一般的で、物流倉庫では、大きな荷物をコンテナから積み下ろす際、フォークリフトを使用することがあります。
1ヶ月分のデバンニング料の相場は2~3.5万円程度です。デバンニングは、丁寧な作業が求められるため、作業時間がかかりやすい傾向にあります。特に、高さのある場所の製品を取り出す際は、荷崩れを起こさぬよう慎重な荷下ろしが必要です。荷物を取り出す作業の多くは手作業となるため、作業スピードの改善にも限界があります。
また、フォークリフトを扱う場合は操作が難しく、相応の技術を持つ人でないとできないため、入庫料とは別に請求されます。フォークリフト等機械をを使用した回数が多い月等は、それに比例してデバンニング料も高くなります。
入庫料
入庫料は荷主からの荷物が到着した際、荷物を入庫するためにかかる費用のことです。物流倉庫ではたくさんの商品が届きますが、それを種類別に仕分けて、決められた場所に収納します。 入庫料の金額は個数単位やケース単位などでかかるのが一般的です。比較的大きめの商品は個数単位で料金が決まり、小さめの商品はケース単位で決まります。
費用相場は、個数単位の場合には1個あたり10~30円程度で、ケース単位の場合には1ケースあたり30~100円程度です。
検品料
検品料は、入庫する商品を検品する際にかかる費用です。検品では、数量が合っているかどうか、傷などがないかをチェックします。
検品料の相場は、商品の種類によって差があります。目視で簡単にチェックするだけで済む商品なら、10~30円程度が相場です。電化製品やPC周辺機器などの場合は、動作確認も必要になるため、1個あたり80~100円程度と高めになっています。
出荷・ピッキング料
出荷・ピッキング料は、受注後に該当商品を倉庫内からピッキングして、出荷エリアまで運ぶ作業にかかる料金です。商品1個あたり10~30円程度かかります。
チラシなどを同梱する際は、その分だけピッキング料に加算されることが多いです。
出荷梱包料
出荷梱包料は、出荷エリアまで運ばれてきた商品を梱包して、出荷できる状態にする作業にかかる費用です。ダンボールに入れて、壊れやすい商品には緩衝材を入れる作業や、ラベル貼りなどの作業も含まれます。
ケース単位で料金が決まることが多く、相場は1ケースあたり150~300円程度です。
配送料
配送料は運送会社に支払う費用のことです。荷物の大きさによって料金が異なりますが、60サイズなら800~1,300円程度、80サイズなら1,100~1,800円程度です。
料金は送り先の地域によっても異なり、基本的に近場なら安く、遠方ほど高くなります。離島に発送する場合は特に高めです。
物流倉庫の費用を削減する方法
物流倉庫の費用を削減するには、具体的にどのようなことをすれば良いのか見ていきましょう。
無駄なスペースや在庫を省く
倉庫に保管している在庫の量に対して、倉庫のスペースが広すぎることはないでしょうか。大きい倉庫は賃料もランニングコストも多くかかります。もし、倉庫のスペースが広すぎるようなら、もう少し狭い倉庫を使用した方が良いかもしれません。
ちょうど良いくらいの広さだと思っていても、無駄なスペースを省いてみると広すぎることもあります。
まずは、在庫を保管するのに必要なスペースを計算してみましょう。最低限のスペースで管理できるようにすることが大切です。無駄な在庫を抱えないように、在庫管理を徹底して行いましょう。
立地とコストのバランスが良い倉庫を選ぶ
「賃料が安い」という理由で、都市部から離れた場所の倉庫を使っているEC事業者様も多いかもしれません。確かに都市部から離れた場所の倉庫であれば賃料が安く、そこだけ見ればコスト削減につながるように思えるでしょう。
しかし、郊外の倉庫は賃料を安く抑えられる反面、配送料が高くついてしまいます。トータルで考えてみると、都市部の近くの倉庫を使用する場合と比べて、あまりコスト削減に繋がっていないこともあるでしょう。
そのため、立地とコストのバランスを考えて最適な倉庫を選ぶことが大切です。
単にコストが安く済めば良いというわけではありません。立地の割に安く利用できる倉庫でも、保管環境などが原因で商品の品質を損なってしまうこともあります。 倉庫を選ぶ際は、商品の品質を担保できるかどうかも考慮した上で、適正な費用かどうかを見極めましょう。
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複数の倉庫を利用している場合でも、倉庫内の実在庫数を一目で把握できます。業務効率も大幅にアップするでしょう。物流倉庫にかかるコストを削減したいと考えているEC事業者様におすすめです。
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まとめ
物流倉庫の費用がかかりすぎていると思ったら、項目別に相場と照らし合わせてみましょう。高すぎる項目は改善の余地があります。
無駄なスペースを使っていないかどうかのチェックも大事です。必要最低限のスペースだけ使うようにすれば、現在よりも賃料の安い小さな倉庫で十分な場合もあります。
あわせて、フルフィルメントサービスの利用も検討してみましょう。現在の状況によっては、人件費を節約できて業務効率化にもつながります。